第32号 2014/6/30(月)


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 6月25日、あっけなく日本代表のワールドカップが終わってしまいました。マスコミ喧伝のベスト4、ベスト8入りはその後の報道では「奇跡」「夢」だったとのことです。
 大会直前に発表されたFIFAのランキングによれば、日本の所属するグループCの国別順位は、コロンビアが8位、ギリシャが12位、コートジボワールが23位。日本は46位です。過度の期待は選手にも大きな負担になっていたのでしょうし、応援する方の落胆も大きくなりました。
 グローバルビジネスの世界でも、市場分析、戦略、確実な実行が肝要です。

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nanobiz News
◆技術開発動向
世界初、ナノクリスマスツリーでDNAを数秒解析
〜瞬時に遺伝子診断を実現〜

<概要>
 名古屋大学大学院工学研究科の馬場嘉信教授らの研究グループと、大阪大学産業科学研究所川合知二教授のグループは、世界で初めて、ナノクリスマスツリーでDNAを数秒解析し、瞬時に遺伝子診断することを可能にしたと発表しました。
 健康や疾病に関連したDNA情報を高速に読み取る技術は遺伝子診断等に代表される未来医療において重要な科学技術として期待されています。
<今後の展開>
 今回提案された方法は、マイクロチャネル内のナノ構造の位置と密度を制御できるという独特の方法で、DNAに限らず、他の生物学的な分子を解析する新しい手法を提供するものとされています。
http://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/researchinfo/upload_images/20140612_eng.pdf


微生物が作る酸化鉄で、電池の特性が向上
〜高機能・低コスト・エコな次世代材料に期待〜

<概要>
 岡山大学大学院自然科学研究科の高田潤 特任教授らの研究グループが、東京工業大学、京都大学と共同で、微生物が作るチューブ形状の酸化鉄がリチウムイオン二次電池の負極材料として優れた特性を示すことを発見し、その特異的な充放電特性を明らかにしたと発表しました。
<今後の展開>
 今後、研究グループは、自然界から単離したチューブ状酸化鉄を作る鉄酸化細菌の培養条件を調整して鉄/シリコン比率やナノ構造の制御を行い、充放電特性の向上を目指すとのことです。

http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id186.html


遷移金属や磁性体の高精度無損傷化学反応エッチング技術の開発に世界で初めて成功
〜東北大学と東京エレクトロンの共同研究により、次世代デバイスMRAM実用化に道〜

<概要>
 東北大学 原子分子材料科学高等研究機構、流体科学研究所の寒川 誠二教授らの研究グループが、次世代のデバイスといわれるMRAM(磁気抵抗メモリ)の実用化に道を拓く技術として、酸化と金属錯体反応を同時に実現する装置を開発し、これまで困難であった遷移金属や磁性体膜の高精度で超低損傷なエッチングに世界で初めて成功したと発表しました。
<今後の展開>
 本技術を用いた装置は従来のプラズマ源に、中性化のためのグラファイトグリットを付加するだけで実現できることから、今後、MRAM製造における加工技術に止まらず、中性粒子ビームを用いた表面改質・修飾技術の研究開発を進めて実用的なデバイス開発を鋭意、推進していくとのことです。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2014/06/press20140605-01.html
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140609/index.html



ガラス基板上に単結晶に匹敵する品質の酸化物薄膜結晶を成長
〜低コスト、高性能なデバイス開発につながることを期待〜

<概要>
 東京大学大学院理学系研究科・理学部 長谷川 哲也教授(兼神奈川科学技術アカデミー研究代表者)らの研究グループが物質・材料研究機構の佐々木 高義フェローらと連携して、安価なガラス基板上に高品質な酸化物薄膜結晶を成長する手法を開発したと発表しました。
<今後の展開>
 本手法は、簡便な手法で安価なガラス基板上に高品質な薄膜結晶を成長することが可能なため、研究グループは、酸化物薄膜結晶を用いた低コストで高性能なデバイス開発につながるものと期待しています。
http://www.newkast.or.jp/press/press_140604.html
http://www.nims.go.jp/news/press/2014/06/p201406041.html



Si基板上への三次元集積的な成長によるグラフェン物性の作り分けに初めて成功
〜グラフェンとSiが融合した電子・光デバイス混載回路へ道〜

<概要>
 東北大学電気通信研究所の吹留博一 准教授らのグループが、東大のグループと共同で、グラフェンをシリコン(Si)基板上に三次元集積的に成長させることに成功し、グラフェン物性の作り分け(金属性vs.半導体性)ができるようになったと発表しました。これにより、グラフェンとSiが融合した電子・光デバイス混載回路への道が拓かれるとのことです。
<今後の展開>
 今後は、作製したグラフェンの高品質化、グラフェンデバイスの高性能化を図り、電子・光混載デバイスに必要な技術を確立することにより、グラフェンの電子・光集積回路を目指すとのことです。
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2014/06/press20140602-01.html


ナノワイヤを用いて電気の伝導と貯蔵の両方が可能に
〜酸化銅のナノウィスカーを用いて電気の伝導と貯蔵を同時に実現〜

<概要>
 米国セントラルフロリダ大学NanoScience Technology Center のJayan Thomas助教授の研究チームが、電気の伝送と貯蔵の両方ができる方法を開発したと発表しました。
<今後の展開>
 この研究チームは、この技術は、まだ予備的なものですが、1本の電線で電力の伝送と貯蔵ができることから、宇宙衛星や電気自動車の小型・軽量化といった用途展開を期待しています。また、この技術でナノ構造を持った電力の伝送と貯蔵のできるファイバーが開発され、衣類の中に織り込まれたパワーデバイスに電力を供給することも考えられるとしています。一方で、今日の“スーパーキャパシタ”デバイスに替わるには、製造コストを下げることが肝要であるとの指摘もあります。
http://today.ucf.edu/new-nanotech-may-provide-power-storage-cables-clothes/
http://spectrum.ieee.org/nanoclast/semiconductors/materials/nanowires-enable-a-cable-to-both-conduct-and-store-electricity


多層カーボンナノチューブの高い触媒活性を発見
〜欠陥構造を導入し金属や窒素添加なしで炭素系触媒を実現〜

<概要>
 東京工業大学大学院総合理工学研究科の脇慶子准教授らが、多層カーボンナノチューブ(MWNT)に対して、金属酸化物微粒子の触媒活性を利用して表面にナノオーダの細孔を形成・制御することにより、欠陥構造を導入したMWNTが燃料電池や金属−空気電池などの空気極(正極)に応用可能な高い触媒活性を持つことを見出したと発表しました。
<今後の展開>
 MWNTは白金などに比較して1/100以下の原料コストですので、大幅な触媒コストの削減が可能になります。今後、研究グループは、炭素系触媒の活性を手がかりに燃料電池や金属−空気電池などの触媒設計に役立つこと、更に、ナノ細孔を持つカーボンナノチューブの中空空間を利用したナノリアクターやドラッグデリバリーシステムなどへの応用が期待されるとしています。
http://www.titech.ac.jp/news/pdf/n000280.pdf


厚さ数ナノメートルの有機半導体材料の板状ナノ粒子を製造
〜有機薄膜デバイスに使うナノ粒子をマイクロミキサーで連続製造〜

<概要>
 産業技術総合研究所ナノシステム研究部門ナノケミカルプロセスグループの竹林良浩 主任研究員らのグループは、コニカミノルタ株式会社と共同で、厚さ数ナノメートルの板状有機半導体材料のナノ粒子を連続的に製造する方法を開発したと発表しました。
<今後の展開>
 研究グループでは、得られた板状ナノ粒子分散液を用いた成膜試験を進めており、今後は成膜に適したナノ粒子分散液製造条件を最適化するとともに、有機半導体材料ナノ粒子からなる薄膜を積層して作る有機薄膜デバイスの5年以内の実用化を目指しています。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2014/pr20140523/pr20140523.html


アルミニウムAlを用いて近赤外光を捕集できるナノアンテナを実現
〜金属Alをもちいた光ナノアンテナによる近赤外波長域における光捕集効果〜

<概要>
 北海道大学電子科学研究所の三澤 弘明教授の研究グループが、ありふれた金属であるアルミニウムAlの光ナノアンテナを用いて、これまで太陽電池などのエネルギー変換系には有効に利用されていなかった近赤外波長域で、高効率に光を捕集できることを明らかにしました。
<今後の展開>
 研究グループは、光の吸収によって生じるAlの励起子とプラズモン共鳴に基づく光共振器が結合して、エネルギー緩和がゆっくりとした新しい混成状態を形成されたことを示唆し、この新しい混成状態を利用して、赤外波長域において光を閉じ込める光アンテナとしての応用できるのではないかと期待しています.その結果、これまでAuやAgのような貴金属のナノアンテナ用いて開発された近赤外光を有効利用する太陽電池や人工光合成システムに、より安価なアルミニウム ナノアンテナを搭載した同様なエネルギー変換が可能になるものと期待しています。
http://www.hokudai.ac.jp/news/140530_pr_es.pdf


二酸化チタンの光触媒活性を決める因子を発見
〜高効率光触媒開発に新たな指針〜

<概要>
 東京大学物性研究所の松田巌准教授、東京工業大学大学院理工学研究科の小澤健一助教、上智大学理工学部の坂間弘教授らの研究グループが、光触媒である二酸化チタン(TiO2)結晶の表面における光励起キャリアの振舞いをリアルタイムで観察し、キャリア(電子と正孔)寿命が触媒活性を決定する重要な因子であることを発見したと発表しました。
<今後の展開>
 今後、研究グループは、表面ポテンシャル障壁がTiO2表面の化学状態により制御できることから、目的とする化学反応に応じて最適なキャリア寿命を持つ光触媒の設計開発に新たな指針を与えることになるとしています。
http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/issp_wms/DATA/OPTION/release20140527.pdf
http://www.sophia.ac.jp/jpn/info/news/2014/5/globalnews_1107/20140527press
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2014/140527_2/



100ビットを超える集積型光メモリを世界で初めて実現
〜超高速、低消費電力の情報処理に向けて前進〜

<概要>
 日本電信電話株式会社は、フォトニック結晶を用いた光ナノ共振器をベースとする超小型光メモリをチップ内に集積することにより、世界で初めて100ビットを超える光ランダムアクセスメモリ(RAM)を実現したと発表しました。
<今後の展開>
 今後は並列集積方式と組み合わせて高ビット化を目指すとのことで、これにより光信号を電気に変換せずに情報処理を行うことが可能となり、情報通信の高速化、低消費エネルギー化が期待できるとしています。
http://www.ntt.co.jp/news2014/1405/140523a.html


分子の自己組織化のタイミング・構造・機能すべてを容易に制御
〜有機エレクトロニクス分野に不可欠な材料作成法に新技術〜

<概要>
 物質・材料研究機構の中西 尚志独立研究者とMartin J. Hollamby研究員らは、国内外の研究機関との国際共同研究において、有機エレクトロニクス材料分野の重要技術とされる
π共役系分子の自己組織化のタイミングおよび得られる構造・機能を容易に制御できる新技術を開発しました。
自己組織化に用いる
π共役系分子を常温液体にしておけば、予め様々な形状の基材表面に直接塗布できます。その後タイミングを図って分子パーツを添加することで、その場で自己組織化が可能となります。組織化して得られた多層シート状、あるいはファイバー状の構造体は、C60に由来する光導電性を示すことから、用途に合わせて必要な構造体の選択を行うことができます。
<今後の展開>
 本研究の成果は、目的に合わせた有機エレクトロニクスデバイスなどの作製を可能する新たな自己組織化技法として広く応用が期待できます。
http://www.nims.go.jp/news/press/2014/06/hdfqf1000003abge-att/p201406230.pdf


エネルギー問題等で注目される摩擦材料の高効率開発手法を創出

<概要>
 NIMS、国際ナノアーキテクトニクス研究拠点ナノエレクトロニクス材料ユニットの後藤 真宏MANA研究者、ならびに先進高温材料ユニットの佐々木道子NIMSポスドク研究員、土佐正弘グループリーダーらは、狙った大きさの摩擦を有する「摩擦材料」の開発において、従来にない高効率な方法を創出しました。
<今後の展開>
 今回、提唱されたコンビナトリアルトライボロジー手法は、必要とする摩擦係数を有する結晶構造・配向の情報を短時間で取得することができるとともに、材料表層部の結晶配向を単なる摩擦だけで特定の結晶配向に変化させることができる方法であり、今後の摩擦材料研究の有力な手法となることが期待されます。
http://www.nims.go.jp/news/press/2014/06/hdfqf10000039z4f-att/p201406180.pdf


◆イベント・セミナー等の紹介
ナノテクノロジープラットフォーム南関東甲信越地区セミナー&見学会
 〜東大、東工大、信州大学、早稲田〜

<概要>
文部科学省のナノテクノロジープラットフォーム事業では、大学等公的機関にある最先端の研究設備を開放し、共用するシステムを運用しています。
今回は事業促進のための表記セミナーと見学会のご案内です。

開催要領
 開催日時】:平成26年7月16日(水)13:00〜
 【開催場所】:セミナー  東京大学 武田ホール
          施設見学会(事前申し込み)
          東大、東工大、早稲田(セミナー終了後、各施設に移動)
 【参加料】:無料
 【申込】:
https://ssl.form-mailer.jp/fms/b0158e0b295874
  詳しくはhttp://www.jst.go.jp/pr/pdf/nanotech_event140716.pdf
        https://nanonet.go.jp/topics_insti/?mode=article&article_no=2502


【課題募集】ナノテクノロジープラットフォーム
平成26年度 研究設備の試行的利用事業

<概要>
全国のナノテクノロジー研究開発設備の外部共用を進める「ナノテクノロジープラットフォーム(NPJ)」では、新規ユーザー拡大と、新たな成果創出のため、以下の3つのタイプの対象設備の試行的利用事業を行っています。

(Type 1)
広く一般の研究者・技術者がはじめて利用することを想定した募集
 
(Type 2)
若手研究者に加え、年齢を制限せず女性研究者・技術者を対象とする募集
 
(Type 3)
実用化・産業化が期待できると見込まれるテーマをナノテクノロジープラットフォームが積極的に支援するため、利用する実施機関が「秀でた成果」につながると見込んだテーマを対象とする募集/企業単独、または産学官連携に拠る応募

これらの募集では、NPJ全国25ヶ所のナノテクノロジー機器を活用するアイデア(課題)をお持ちの研究者・技術者の提案を受け付け、採択された応募者に旅費・利用料等の一部費用を支援します。
お問い合わせ https://nanonet.go.jp/shikou/h26/





 nanobiz Magazine
 

◆【連載!神田のカルチェラタン】

骨太の方針・「日本再興戦略」改訂2014

 
「骨太の方針」という言葉が気になって、wikipediaで調べてみたら、「骨太の方針というのは大きな傘みたいなもんだ。−小泉純一郎元総理」、「総論でタガをはめ、大臣を抑え、官僚組織のトップを抑えることで各論での『骨抜き』を許さない手法−飯島勲元秘書官」とありました。
 今回の方針・成長戦略は、失われた20年を一挙に取り戻すような勢いで作成されたのか、骨が盛りだくさんの内容です。往々にして方針・戦略というものは作れば終わりになりがちですが、実行面でも『骨抜き』にならないようにしたいものです。

       nano2biz Magazine32号 カルチェラタン 骨太の方針・「日本再興戦略」改訂2014

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