第31号 2014/6/13(金)


メルマガnano2biz31号をお届けします。

 政府は産業競争力会議に「新成長戦略」の概要を提示した後、6月下旬の閣議決定を目指します。成長戦略は毎年の様に策定されてきましたが、なかなか中長期の低迷から抜け出せない状況が続いています。

 今年の1月に「産業競争力の強化に関する実行計画」が改めて閣議決定されたことを見ても、我が国経済の問題は成長戦略そのものにあるのでは無くその実行にあると言えます。

 しかし、現在は企業の設備投資等から景気回復の期待が高まりつつあります。まだ、盆踊りには早いですが、ここは「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らなにゃ損、損」の阿波踊りのノリで、国を挙げて戦略実行に向けて取り組むべき時でしょう。


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nanobiz News
◆技術開発動向
次世代トランジスタの動作速度を劇的に改善する技術を開発
〜超低消費電力集積回路の実現に貢献〜

<概要>
 産業技術総合研究所ナノエレクトロニクス研究部門の森貴洋研究員らは、シリコントンネル電界効果トランジスタ(トンネルFET)の新しい動作速度改善技術を考案し、実証しました。この技術により、動作速度が10倍以上改善されることが期待されます。
<今後の展開>
 シリコントンネルFETの駆動電流のさらなる向上、およびこの技術を利用したCMOS回路を試作し回路動作の実証を目指すとのことです。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2014/pr20140609/pr20140609.html


従来比約62倍となる154TBの大容量データカートリッジの量産が可能に!
〜塗布型磁気テープの世界最高面記録密度85.9Gbpsiでのデータ記録・再生を実証〜

<概要>
 富士フイルム(株)は、IBMと共同で、独自技術により記録密度を飛躍的に向上させた「バリウムフェライト(BaFe)磁性体」採用の磁気テープの実走行試験を行い、塗布型磁気テープにおいて世界最高の面記録密度85.9Gbpsiでのデータ記録・再生を実証したと発表しました。これは、従来比で約62倍となる非圧縮記録容量154TB(テラバイト)データカートリッジの実現を可能にし、実用化にあたって既存設備を利用した量産化の可能性も視野に入っているとのことです。
<今後の展開>
 富士フイルムは、顧客のニーズに応える高性能・高品質の記憶メディアを開発・提供し、世の中の課題解決に取り組み、ソニーは小サンプルですが、スパッタ磁気媒体により本開発と同水準記録密度の磁気テープ技術を開発しています。IBMは、本開発の塗布方式に加え、ソニーのスパッタ方式の開発にも協力し、磁気記録密度の継続的な高度化に備えるとしています。
http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_0877.html
http://www-06.ibm.com/jp/press/2014/05/2002.html



世界最高レベルの有機薄膜トランジスタを開発

<概要>
 岡山大学大学院自然科学研究科の岡本秀毅准教授らの研究グループが、5個のベンゼン環からなるピセンにアルキル基を導入した低分子有機化合物の効率的合成法を開発し、これを用い、有機薄膜トランジスタとして世界最高レベルの電界効果移動度を示す「トランジスタデバイス」を実現したと発表しました。
<今後の展開>
 本研究により、有機トランジスタ材料としてのフェナセン化合物の有用性が示され、今後、フレキシブルデバイス、ICタグなど次世代エレクトロニクスを支えるデバイスへの応用展開が期待されるとのことです。
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id181.html
https://nanonet.go.jp/topics_ntj/?mode=article&article_no=2512



高い磁気転移温度を持つハーフメタル新材料の合成に成功
〜超高密度磁気メモリーなどスピントロニクスデバイスへ応用可能な新材料〜

<概要>
 京都大学 化学研究所の島川祐一教授、高輝度光科学研究センター(JASRI)の水牧 仁一朗副主幹研究員および英国エジンバラ大学 極限条件科学センターの研究グループは、高密度磁気メモリーや高感度センサーなど将来のスピントロニクス分野でのデバイス応用が可能な新しいA−Bサイト秩序型ペロブスカイト構造酸化物材料を合成することに成功しました。
<今後の展開>
 今後、研究グループは今回得られた固体化学的材料設計に基づいて、より高い磁気転移温度やより大きな磁化など特性の向上を目指し、更に、薄膜化などにより、従来よりも高密度・高感度なデバイスやセンサーなどへの展開を進めていく予定とのことです。
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/news_data/h/h1/news6/2014/140523_1.htm
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2014/140523/

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140522/index.html



結晶中の超高速構造変化をX線レーザーで捉えることに成功

<概要>
 北海道大学 電子科学研究所 Marcus C.Newton助教(現Southampton大学講師)らの研究グループが、理研のX線自由電子レーザー(XFEL)施設SACLA(SPring-8 Angstrom Compact Free Electron Laser)を用いて、ナノワイヤー中の超高速構造変化を原子レベルで観察することに成功したと発表しました。
<今後の展開>
 本研究により、XFELを用いた、ポンププローブ法とコヒーレントX線回折を組み合わせた手法が、ナノ結晶中の原子レベルの超高速構造変化を観察するのに有効であることが示され、研究グループは、物質中の原子レベルの歪みの3次元分布をフェムト秒の時間分解能で動画撮影することを目指して研究を進め、強相関電子材料が示す多彩な相転移現象の解明に貢献することを期待しています。
http://www.hokudai.ac.jp/news/140515_pr_es.pdf
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2014/140515/



単層カーボンナノチューブを効率的に分散できる分散剤
〜光で簡単に外せて単層カーボンナノチューブ精製プロセスに応用可能〜

<概要>
 産業技術総合研究所ナノシステム研究部門の松澤洋子主任研究員が、独自開発の光応答性の単層カーボンナノチューブ分散剤を用いることで、単層カーボンナノチューブの非破壊的な精製プロセスが可能であることを実証したと発表しました。
<今後の展開>
 今後は、不純物除去率向上や紫外線照射時間短縮などの精製プロセス最適化とともに、この分散剤を用いて作るSWCNT薄膜の微細加工技術開発を進めるとのことです。
https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2014/nr20140515/nr20140515.html


多層カーボンナノチューブの高い触媒活性を発見
〜欠陥構造を導入し金属や窒素添加なしで炭素系触媒を実現〜

<概要>
 東京工業大学大学院総合理工学研究科の脇慶子准教授らが、多層カーボンナノチューブ(MWNT)に対して、金属酸化物微粒子の触媒活性を利用して表面にナノオーダの細孔を形成・制御することにより、欠陥構造を導入したMWNTが燃料電池や金属−空気電池などの空気極(正極)に応用可能な高い触媒活性を持つことを見出したと発表しました。
<今後の展開>
 MWNTは白金などに比較して1/100以下の原料コストですので、大幅な触媒コストの削減が可能になります。今後、研究グループは、炭素系触媒の活性を手がかりに燃料電池や金属−空気電池などの触媒設計に役立つこと、更に、ナノ細孔を持つカーボンナノチューブの中空空間を利用したナノリアクターやドラッグデリバリーシステムなどへの応用が期待されるとしています。
http://www.titech.ac.jp/news/pdf/n000280.pdf


魚の鱗表面と貝の接着成分の特徴を模倣した材料により、水中で防汚性を示す表面の作成に成功

<概要>
 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の高原淳主幹教授らの研究グループが、魚の鱗表面と貝の接着成分の特徴を模倣した材料により、水中で油を寄せ付けない防汚性表面調製のための簡単な手法を開発したと発表しました。
<今後の展開>
 本研究で得られた超撥油性表面は、自己清浄性表面を構築し、低エネルギー消費、界面活性剤の不要な環境調和性の防汚技術となり、二酸化炭素の削減やエネルギー有効利用に導くものと期待しているとのことです。
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2014/2014_05_07.pdf


ガラス基板上に単結晶に匹敵する品質の酸化物薄膜結晶を成長
〜酸化物ナノシートを種結晶にした横方向結晶成長〜

<概要>
 神奈川科学技術アカデミー(以下、KAST)の長谷川哲也KAST研究代表者らの研究グループは、安価なガラス基板上に高品質な酸化物薄膜結晶を成長する手法を開発しました。
 研究グループは今回、酸化物ナノシートと呼ばれる厚さ1nm程度のシート状の単結晶をガラス基板に塗布し、固相結晶化法の種結晶とすることで、数マイクロメートル以上の大きさで配向の揃った結晶粒からなる薄膜結晶の成長に成功しました。の手法を用いてガラス基板上に作製した酸化チタン透明導電膜は、単結晶薄膜に匹敵する低い電気抵抗(3.6×10-4Ωcm)と移動度(13cm2V-1s-1)を示しました。
<今後の展開>
 今回開発した手法は、酸化チタンだけでなく、代表的なエレクトロニクス材料であるチタン酸ストロンチウムにも適用できることを確認しており、酸化物薄膜結晶を用いた低コストで高性能なデバイスの開発につながると期待されます。
http://www.nims.go.jp/news/press/2014/06/p201406041.html


遷移金属や磁性体の高精度無損傷化学反応エッチング技術の開発に世界で初めて成功
〜東北大学と東京エレクトロンの共同研究による成果、次世代デバイスMRAM実用化に道〜

<概要>
 東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)および流体科学研究所(IFS)の寒川誠二教授の研究グループは、次世代のデバイスといわれるMRAMの実用化に道を拓く技術として、酸化と金属錯体反応を同時に実現する装置を開発することで、これまで困難であった遷移金属や磁性体注膜の高精度で超低損傷なエッチングに世界で初めて成功しました。
<今後の展開>
 今後、宮城県に生産体制をもつ東京エレクトロンから次世代デバイスMRAMの生産技術が実用化されれば、被災地での事業創出や雇用創出などの効果が期待されます。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140609/index.html


「つるつる・くるくる」カーボンナノチューブ分子内部の秘密
〜化学が解き明かすカーボンナノチューブの筒内平滑構造〜

<概要>
 東北大学・JST ERATO磯部縮退π集積プロジェクトの磯部 寛之 教授の研究グループは、カーボンナノチューブにフラーレンが取り込まれた分子ピーポッドの固体状態の詳細な構造を解明しました。筒状の分子内に球状の分子が、あたかも「さやえんどう」のような形で入った炭素性物質「ピーポッド」発表者らは、ごく最近、単純な構造をもつ分子ピーポッドを開発し、分子構造を精密に解明できる高輝度X線回折による分析から、カーボンナノチューブ分子の筒の内部には極めて「つるつる(平滑)」な曲面が存在することを明らかにしました。内部が「つるつる」であることが、内部のフラーレンが「くるくる」と回転するための重要な構造要素であることを明らかにした結果です。
 固体中でも滑らかに回転するナノサイズの機械(分子機械)の自在設計を可能とするために重要な基盤となる知見です。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140527/index.html


次世代高耐熱パワー半導体向け「金属セラミック基板」を開発
〜-40℃〜250℃の温度範囲で1000回のサイクルが可能に〜

<概要>
 NEDOプロジェクトにおいて、ファインセラミックス技術研究組合の組合員である(株)ノリタケカンパニーリミテド(以下ノリタケ)は、-40℃から250℃の温度範囲で1000回のサイクルに耐える耐熱サイクル性を実現した金属セラミック基板を開発しました。
<今後の展開>
 実用化に向けて、さらに耐熱サイクル性を向上させた基板技術開発を進めます。また、同技術を実装技術に展開し、高耐熱SiCモジュールの実証を急ぎます。
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100274.html


シリカから有機ケイ素原料を効率的に合成
〜砂から直接製造が可能に〜

<概要>
 産業技術総合研究所は、自動車用部材や太陽光発電用部材などさまざまな用途に使用される有機ケイ素材料の原料として有望なテトラアルコキシシランを、効率的に製造する技術を開発しました。シリカとアルコールの反応によって、従来の金属ケイ素を経由する製造工程が不要になり、地球上に豊富に存在する砂から有機ケイ素原料を直接製造することが可能になりました。
<今後の展開>
 この成果により、高機能な有機ケイ素部材の製造を省エネルギー化することで、同材料を用いた多様な製品の低コスト化に寄与することが期待されます。
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100273.html


◆イベント・セミナー等の紹介
「TIA連携大学院サマー・オープン・フェスティバル」

 ナノテクノロジーの未来を担う学生や若手研究者が集い、分野を超えて交流し、多彩なナノテクノロジーの世界を探究できる学びの祭典です。
 国内外からトップ研究者と技術者を招聘、ハイクオリティでエキサイティングなプログラムが数多く予定されています。
 【開催期間】 
  2014年7月22日〜9月26日
 【開催場所】
  つくばイノベーション・アリーナ ナノテクノロジー拠点(TIA-nano)
 【主催
  TIA連携大学院 サマー・オープン・フェスティバル実行委員会
  http://tia-edu.jp/summer_fes/
 【2014開催案内パンフレット
  http://tia-edu.jp/wp/wp-content/uploads/2014/05/summer_fes_panf_2014.pdf#


東京都産業労働局 中小企業グローバル連携促進事業
 「ドイツのナノテク関連企業に、都内中小企業の技術・製品をPRします!」
 〜参加企業の募集(応募締切:6月23日)〜

  東京都は,「nano tech 2015 第14回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」において、ドイツ企業と都内中小企業とのビジネスマッチング・交流会を実施します。
 その第一ステップとして、ドイツ企業に都内中小企業の技術・製品をPRします。ドイツ企業との連携やドイツ市場に関心のある都内中小企業の皆様、ぜひこの機会にご参加ください。
【参加資格】
  ナノテク関連の技術・製品を有する都内中小企業
  自社の製品開発等にナノテク関連の技術・製品を必要とする都内中小企業
【募集期間】
  平成26年6月23日(月)まで
【お問い合わせ】
  東京都産業労働局商工部経営支援課  TEL 03-5320-4798
  
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/shoko/keiei/global/global.html



スマートコミュニティJapan2014

 「スマートグリッド」技術は、エネルギーのダウンサイジング、再生可能エネルギー利用の拡大の中心技術であり、鋭意、研究開発が進められており、具体的な成果も生まれてきています。
 日刊工業新聞社は昨年エネルギー、自動車、新産業の創出、そしてこれからの街づくりのソリューションをテーマに5つの展示会を複合的に開催する「スマートコミュニティJapan」を創設し、2014年は「スマートコミュニティはビジネスになる」をコンセプトに開催します。

 【開催概要
  日時:2014年6月18日水曜日〜20日金曜日
  会場:東京ビッグサイト 東2・3ホール
  主催:株式会社 日刊工業新聞社
  参加費:無料(登録入場制)
  申込方法:オンライン登録
  問い合わせ:日刊工業新聞社「スマートコミュニティ Japan 2014」事務局
  電話:03-5644-7221   Eメール: j-event@media.nikkan.co.jp
 
 http://www.nikkan.co.jp/eve/smart/



NIMS Conference 2014「ソフトマテリアルが拓く未来社会」(2014.7.01〜03開催)

 有機分子の発光材料のウェアラブル(携帯可能)な表示デバイスへの応用、高齢化社会に備えてインプラント材料の耐久性や生体親和性の向上、ゲルとハードマテリアルの融合、アジア各国での大気や河川汚染対策として高性能フィルターや水処理膜などの環境保全材料の開発等、ソフトマテリアルへの社会からの要求と期待は急速に拡大しています。
 NIMS Conference 2014では、「ソフトマテリアルが拓く未来社会」をテーマとして、有機・高分子材料に関連する基礎科学、光・電子機能の解明と材料応用、生体材料としてのインターフェース、ならびに環境、エネルギー関連分野へ貢献するサイエンスについて幅広い議論が予定されています。(講演・討論は英語で行われます。)
  ※ソフトマテリアル:ゴムやプラスチック、液晶、ゲル等

 【開催日】2014年7月1日〜3日
 【場所】つくば国際会議場「エポカルつくば」
     〒305-0032 茨城県つくば市竹園2-20-3
 【参加料】無料
 【主催】独立行政法人物質・材料研究機構
 http://www.nims.go.jp/publicity/events/nims_conference_2014_j.html
 
http://www.nims.go.jp/publicity/events/hdfqf1000002db0r-att/NIMSconference2014_2nd.pdf




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