CNTの用途

CNTの産業利用として最も早くから取り組まれたのは、多層CNTによる導電性を利用した応用製品です。樹脂に数パーセント分散させ多層CNTにより帯電防止の導電性を付与し^1）、電子部品などの搬送トレーとして既に利用されています^2）。ヨーロッパでは自動車部品の樹脂添加剤として利用が進んでいます^3）。塗料中にCNTを分散させたものも商品化され、帯電防止や防錆塗料として利用されています^4）。

また大量に使用されている分野ではリチウムイオン二次電池の電極の添加剤があり^5）、この用途で多層CNTは年数百トンの市場規模に育っています。

強度利用の面では多層CNTが炭素繊維複合材の添加剤として^6）、ラケット、ゴルフシャフト、スノーボード、自転車フレームなどに利用されています^7）。他には音響スピーカーの振動板の添加剤として利用されています^8）。

導電性を高めたものとして単層もしくは二層CNTがコーティングフィルムなどに近年利用されはじめています^9）。

また、様々な素子として単層CNTの利用が検討されています。単層CNTをゴムに添加したシート系熱界面材料^10）、単層CNTを半導体性SWNTと金属性SWNTに分離し^11）、半導体性CNTを塗布型のトランジスタ素子として利用^12）、超高速、超高密度不揮発性メモリー素子^13）、可飽和吸収を利用した超短時間パルスレーザー素子^14）、フィールドエミッション素子^15）、熱電変換素子^16）などでの利用が検討されています。