72号 2016/3/31(木)

メルマガ nano2biz 第72号をお届けします。

 東京の開花宣言が出された3月21日朝9時、標本木がどの木なのか確認するために靖国神社を訪ねてきました。

 標本木は能楽堂の斜め右前の囲いの中に植えられています。標本木は添え木がなされ、苔むし、一目で老木と分かります。開花宣言の条件の5、6輪はクリアーしており、間違いなく今日がその日だと確認できました。
 なお、標本木の指定は東京管区気象台が行ったとありました。

 そうなんです。政治、宗教とは無関係に、桜の花は暖かくなれば咲くのです。




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nanobiz News
◆技術開発動向
フラーレン生産性向上
~昭和電工 川崎にパイロット設備~

<概要>
 昭和電工株式会社が、ナノカーボン製品のフラーレンの新製法を開発するため、2016年中に川崎事業所内にパイロットプラントを建設すると発表しました。
<今後の展開>
 用途開発と並行して、価格競争力のある生産技術も確立し、市場の拡大に対応するとのことです。
(出典:2016年3月11日『化学工業日報』朝刊)


酸化グラフェンの酸素含有量を自在に制御する方法を確立 
~セシウム吸着能や導電性の関係が明らかに~

<概要>
 岡山大学異分野融合先端研究コアの仁科勇太准教授らの研究グループが、酸化グラフェンの酸素含有量を精密に制御する方法を確立し、酸素含有量による、導電性、セシウム吸着能、キャパシタンス、酸化力などの物理、化学的性質の変化を明らかにしたと発表しました。
<今後の展開>
 本研究により、酸化グラフェンの酸素含有量を精密に制御して合成することが可能になり、酸素含有量に応じた物理、化学的特性が明らかになったことから、今後、スーパーキャパシタ、リチウムイオン電池、触媒、潤滑剤、ポリマーコンポジット、水浄化剤等の用途に対して適切な酸化グラフェンを選択することで、酸化グラフェンの応用研究が進展し、実用化に向けた研究が本格的にスタートすることが期待されています。
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id373.html


未利用の太陽光エネルギーを利用可能にする透明・不燃な光波長変換ゲルを開発
~太陽電池や光触媒等の変換効率向上に資する材料革新~

<概要>
 東京工業大学大学院理工学研究科の村上陽一准教授らが、日本化薬株式会社と共同で、不燃性と不揮発性、光学透明性、非流動性をすべて兼ね備えた、光エネルギー変換に未利用な長波長光を利用可能な短波長光に変換する“光波長変換イオノゲル”の開発に世界で初めて成功したと発表しました。
<今後の展開>
 本研究は、光アップコンバージョン技術の応用に向けた基盤的材料開発です。色素の光吸収波長・発光波長は有機合成により調整可能であり、今後は目的に応じた材料の最適化開発・探索が課題とされています。

http://www.titech.ac.jp/news/2016/033466.html


■世界最高速の分子判別法を開発 
~再生医療、がん診断、バイオ医薬品、バイオ燃料の研究を加速~


<概要>
 東京大学 大学院理学系研究科の井手口 拓郎 助教(ImPACTチームリーダー)、合田 圭介 教授(同プログラム・マネージャー)らが、世界最高速の振動分光法(ラマン分光法)を開発したと発表しました。
<今後の展開>
 今後の展開としては、本研究で開発した高速計測手法を用いて一つずつの細胞を評価して希少な目的細胞を探す取り組みを実施するとのことで、再生医療、がん診断、バイオ医薬品、バイオ燃料等の研究の加速が期待されるとのことです。
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/13757/
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160215/index.html


分子が金属のどこにどのように吸着しているかの識別に成功 
~高性能分子デバイス実現に道拓く~

<概要>
 東京工業大学大学院理工学研究科の金子 哲 助教と木口 学 教授、NIMSの塚越 一仁 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(MANA)主任研究者らが、単分子の電流-電圧(I-V)特性と表面増強ラマン散乱(SERS)を同時に測定することで、分子の吸着機構を分別できる単分子分光法の開発に成功したと発表しました。
<今後の展開>
 本研究を利用して特定の吸着構造を持つ単分子素子を選び出し、抽出した単分子素子のみを使って回路を組めば信頼性の高い有機分子デバイスの実現を期待しているとのことです。
http://www.titech.ac.jp/news/2016/033454.html
http://www.nims.go.jp/news/press/2016/02/201602150.html


レアアースを添加せずに窒化物で世界最高水準の圧電性能を実現
~スカンジウム添加窒化アルミニウムと同等レベルの性能の圧電材料~

<概要>
 産業技術総合研究所製造技術研究部門センシング材料研究グループ 上原 雅人 主任研究員と秋山 守人 副研究部門長らは、株式会社 村田製作所と共同で、高価な元素を使わずに、窒化物として世界最高水準の性能をもつ圧電材料を開発しました。
 窒化アルミニウムに安価なマグネシウム(Mg)とニオブ(Nb)を同時に添加することで、スカンジウム添加窒化アルミニウムと同等レベルの圧電性能を実現したものです。
<今後の展開>
 この性能は窒化物の圧電材料としては世界最高水準であり、レアアースを含まずに安価に製造できるため、次世代の高周波フィルターへの応用が期待されます。また、膨大なセンサーが必要とされるIoTやスマートマニュファクチャリングなどのセンサーネットワークの実現に向けたキーデバイスとしての利用が考えられます。

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2016/pr20160318/pr20160318.html


世界最高レベルのQ値を有する光ナノ共振器の大量作製に成功

<概要>
 大阪府立大学工学研究科の高橋和准教授と産業技術総合研究所電子光技術研究部門の森雅彦研究部門長、岡野誠研究員の研究グループは、世界で初めて、工業生産に適したフォトリソグラフィ法を用いて、100万以上のQ値を有する光ナノ共振器を作製することに成功しました。
<今後の展開>
 今回、工業生産に適したフォトリソグラフィ法を用いて、最高レベルの精度を要求する100万以上のQ値を有する光ナノ共振器が作製できることが分かりました。シリコンフォトニック結晶は、高Q値光ナノ共振器だけでなく、太陽電池、熱輻射光源、熱電発電などの応用も活発に研究されています。本研究成果を発展させていくことで、これらの応用においてもフォトリソグラフィ法を用いた大量生産が可能になると期待しています。

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2016/pr20160316/pr20160316.html


光照射で効率的に発熱するナノコイル状の新素材を開発
~近赤外レーザーによるがん光熱療法への応用に期待~

<概要>
 産業技術総合研究所機能化学研究部門面材料グループ 丁 武孝 研究員とナノ材料研究部門CNT機能制御グループ 都 英次郎 主任研究員らは、優れた光発熱効果を示すナノコイル状の新素材を開発しました。
 この素材は、有機ナノチューブの表面に、ポリドーパミン(PDA)がコイル状に結合したもので、生体透過性の高い近赤外レーザーを照射すると、高効率で発熱します。培養したがん細胞に少量添加し、レーザー照射すると、60 %以上の細胞が死滅し多とのことです。近赤外レーザーを利用した生体深部のがん治療用材料への応用が期待されます。
<今後の展開>
 今後は、光発熱効果の効率向上や、各種のがん細胞に選択的に吸着させるための最適化とともに、正常細胞への安全性評価なども進め、また、今回発見したナノコイル状PDAの優れた光熱変換効果を活用し、太陽電池などの省エネルギー分野への応用も検討していくとのことです。

http://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2016/nr20160308/nr20160308.html


フラーレンC70に水分子を閉じ込めることに成功
~水分子の挙動観測に成功し、新機能物質の開発に期待~

<概要>
 JST 戦略的創造研究推進事業において、京都大学 化学研究所の村田 靖次郎 教授らは、炭素原子が球状に結合しているフラーレンの一種であるC70の内部に水分子を閉じ込めることに成功しました。
<今後の展開>
 今回開発した技術を用い、有機薄膜太陽電池の性能向上、生理活性素材の開発、生命現象を解明するためのプローブ分子への応用などが期待されます。

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160308-2/index.html


界面構造を変えるだけで金属酸化物の機能特性を制御
~酸素配位環境を利用した新機能探求へのアプローチ~

<概要>
 京都大学 化学研究所の菅 大介 准教授、麻生 亮太郎 博士課程学生(現大阪大学 助教)、佐藤 理子 修士課程学生、治田 充貴 助教、倉田 博基 教授、島川 祐一 教授の研究グループは、ペロブスカイト構造遷移金属酸化物から構成されるヘテロ構造中の酸素配位環境(遷移金属―酸素間の結合角度)を変調させることで、薄膜特性を制御することに成功しました。
<今後の展開>
 本研究の成果は、界面構造を介して酸素配位環境を変調させる界面エンジニアリングが、遷移金属酸化物薄膜の機能特性の制御に有用であることを示すものです。このような手法は他の遷移金属酸化物にも適用可能であり、新しい化学組成を持つ物質を合成するような従来の物質探求とは全く異なる材料開発の新しいアプローチによる新しい機能の発現も期待されます。将来のエレクトロニクスやスピントロニクスの分野における新材料の開発にもつながると考えています。

http://www.jst.go.jp/pr/announce/20160308/index.html


小さくなると、閉じたゲートが開閉する」多孔性材料
~薄膜化により多孔性金属錯体に隠されたゲート開閉機構を発見~

<概要>
 京都大学の北川宏教授、大坪主弥助教、坂井田俊大学院生、NIMSの坂田修身高輝度放射光ステーション長、RIKENの高田昌樹グループディレクターらは、ナノメートルサイズの薄膜化により分子の吸着機能を発現する多孔性材料を発見しました。
 今回、本研究グループは、バルクの結晶状態では分子を取り込む機能を全く示さないMOFが、ナノメートルサイズの結晶性薄膜になるとゲートが開くような構造変化を伴って分子を取り込むようになることを発見したものです。
<今後の展開>
 研究成果は、多孔性薄膜材料を用いた新しいガス分離膜、センサー材料や電子デバイスとしての応用に繋がることが期待されます。

http://www.nims.go.jp/news/press/2016/03/201603080.html


人工光合成を実現する混合粉末型光触媒シートを開発
~太陽エネルギー変換効率1.1%を達成~

<概要>
 NEDOは、人工光合成化学プロセス技術研究組合、東京大学、TOTO株式会社とともに、太陽エネルギーを利用した光触媒による水からの水素製造(人工光合成の一種)で、2種類の粉末状の光触媒を用いた混合粉末型光触媒シートを開発、太陽エネルギー変換効率1.1%を達成したとのことです。
 開発した混合粉末型光触媒シートは、水中に沈めて太陽光を当てるだけで、水を分解して水素と酸素を発生させることができ、非常にシンプルな構造で、大面積化と低コスト化に適しているため、安価な水素を大規模に供給できる可能性を持っています。さらに実用化を目指したプロセス開発も同時に行い、大量生産可能なスクリーン印刷法を利用した混合粉末型光触媒シートの塗布型化にも成功しています。

http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100533.html


◆イベント・セミナー等の紹介
5回最先端の顕微鏡と理論計算に関する国際シンポジウム(AMTC5

開催概要
【日時】平成
28年5月11日(水)~13日(金)
【会場】
愛知県産業労働センター(ウインクあいち)
    2F大ホール、5F小ホール(名古屋駅前)
【主催】一般財団法人ファインセラミックスセンター(JFCC)ナノ構造研究所
【共催】文部科学省 科研費新学術領域
    「ナノ構造情報のフロンティア開拓-材料科学の新展開」
【後援】一般社団法人ナノテクノロジービジネス推進協議会(
NBCI
【参加費】
無料
【参加登録・プログラム】http://amtc5.com/



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◆【連載!神田のカルチェラタン】

~リアル ジャパン~
 現実を直視し、何を成すべきか考えよう


 国の競争力ランキングや経済の活性化状況等、様々なデータがあります。個別に見るとこの項目位ランキングが低くてもと考えたりしますが、悪いデータを一度に数多く見たら、どうされます?
 今回のコラムは図表が多くなっています。 読むのは楽だと思います。
お目通しください。 (編集長 馬田芳直)


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リアル ジャパン

 

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