68号 2016/1/19(火)

メルマガ nano2biz 第68号をお届けします。

 まだ、松の内が過ぎたばかりだというのに、庭の梅の木の花が咲き始めています。また、町内会が世話をしている花壇では、少し淡い黄色の「菜の花」が咲いています。これらも地球温暖化の影響なのでしょうか。

 やはり、寒い季節は寒くないと、冬物も売れませんし、四季折々の季節感が損なわれ、やがて俳句の季語の見直しまで必要になるなどと心配しています。



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発行元:NBCI

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nanobiz News
◆技術開発動向
不揮発磁気メモリー(STT-MRAM)の記憶安定性を2倍に向上
〜大容量STT-MRAMの実用化開発を加速〜

<概要>
 
産業技術総合研究所スピントロニクス研究センター金属スピントロニクスチーム 薬師寺 啓 研究チーム長は、次世代のメモリーデバイスであるスピントルク書込型磁気ランダムアクセスメモリー(STT-MRAM)に用いられる垂直磁化トンネル磁気抵抗(TMR)素子の記憶安定性を従来の2倍に向上させました。
<今後の展開>
 従来の半導体メモリー(DRAM)を代替するには、20ナノメートル(nm)以下の素子サイズが必要とされるが、今回の成果により、素子サイズ19 nmの超高集積化STT-MRAMの実現が見込まれ、データストレージやモバイルデバイスといった製品化への応用が期待されます。今回開発した成膜技術は、他の材料・結晶配向を持つ垂直磁化膜層にも適用でき、幅広い応用の可能性をもっており、今後は、この技術をベースにさらに高い記憶安定性(「記憶層の安定性と作製可能な垂直磁化TMR素子サイズの相関図」の縦軸で大きい数値方向)の実現に努め、大容量STT-MRAMの量産化技術の確立を目指すとのことです。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20151217/pr20151217.html



光メタマテリアルが屈折率ゼロの特殊な性質を持つことを理論的に解明
〜新たな光学素子やフォトニック集積回路への応用に期待〜

<概要>
 物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点の石井智MANA研究者と、米国パデュー大学バークナノテクノロジーセンターのアフゲニー・ノルマノフ教授からなる研究チームは、金属と誘電体が周期的に積層したメタマテリアルが、特定の周波数の光に対して屈折率がゼロになるなど特殊な光学特性を持つことを、世界で初めて理論的に明らかにしました。
<今後の展開>
 屈折率ゼロの物質中では、形状がどれほど曲がったりねじれたりしていても光を損失することなく伝播することができるため、今回の成果を実験的に発展させることで、新たな光学素子やフォトニック集積回路の実現が期待されます。

http://www.nims.go.jp/news/press/2015/12/hdfqf10000071l55-att/p201512160.pdf


高い吸着力と選択性を持つレアメタル吸着剤を開発
〜スポーク状のナノ細孔作成で実現.都市鉱山開発の促進に道〜

<概要>
 近年、レアメタルや貴金属を使用済みの電子機器から回収する技術(都市鉱山開発)が注目されています。
 物質・材料研究機構元素戦略材料センターのSherif El-Safty(シェリフ・エル・サフティ)主席研究員らの研究グループが、電子基板やリチウムイオン電池の溶解処理溶液に極微量含有されるレアメタルや貴金属を、目的の金属だけ高感度に検出して取り出す技術を開発しました。
<今後の展開>
 本技術により、種々の金属イオンを含む低濃度溶液から高純度なレアメタルの取り出しが可能となり、今後、都市鉱山開発の促進が期待されるとのことです。
http://www.nims.go.jp/news/press/2015/12/201512070.html


ナノ爆弾が癌肝細胞の遺伝子活性を変化させる薬剤を送り届ける

<概要>
 米国オハイオ州立大学総合癌センターが近赤外レーザー光の照射で膨張して爆発を起こさせるナノ粒子を開発したと発表しました。

http://cancer.osu.edu/news-and-media/news/nanobombs-might-deliver-agents-that-alter-gene-activity-in-cancer-stem-cells
http://phys.org/news/2015-12-nanobombs-agents-gene-cancer-stem.html


■細胞の代謝とがん化を司る、細胞内エネルギーセンサーを発見


<概要>
 タンパク質合成やシグナル伝達の原動力となる細胞内のエネルギー物質 “GTP(グアノシン三リン酸)”の濃度を正しく保つことは、細胞機能の維持に不可欠です。
 高エネルギー加速器研究機構(KEK) 物質構造学研究所、シンシナティー大学医学部、産業技術総合研究所(産総研)創薬分子プロファイリング研究センターによる合同研究チームは、GTPの濃度を検知し、細胞の働きを制御する “GTPセンサー”を世界で初めて発見しました。
<今後の展開>
 同チームは、PI5P4KβのGTPセンサー機能が、がんの増殖にも関与することを明らかにしました。本研究成果により今後、がんおよび代謝疾患への治療や創薬が大きく展開していくことが期待されます。
http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2016/pr20160108/pr20160108.html


有機薄膜太陽電池で飛躍的なエネルギー変換効率の向上が可能に
〜新材料開発で光エネルギー損失低減に成功〜

<概要>
 理化学研究所創発物性科学研究センターの尾坂 格上級研究員・瀧宮和男グループディレクターと京都大学大学院工学研究科の大北英生准教授らの共同研究チームが、新開発の半導体ポリマーを用いて有機薄膜太陽電池の光エネルギー損失を無機太陽電池並みに低減することに成功したと発表しました。
<今後の展開>
 今後、解析で得られた知見も活用し、材料や製膜プロセスの改良により膜質を改善することで、エネルギー変換効率を実用化レベルの15%まで高められる可能性があるとのことですが、先ず、2016年度中での効率12%達成を目指すとのことです。
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20151202/index.html
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/151202_1.html


固体高分子燃料電池の超高耐久性を実現する電極触媒
〜「不死身化」に向けて〜

<概要>
 九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所(I2CNER)/工学研究院の中嶋 直敏教授、藤ヶ丘 剛彦准教授、Mohamed R. Berber博士研究員らのグループが、固体高分子燃料電池の触媒材料と作製法を工夫することで、耐久性を飛躍的に向上させることに成功したと発表しました。
<今後の展開>
 本触媒の適用は、現在主流となっている固体高分子燃料電池の材料や作製法を大きく変更するものではなく、これを用いれば現行材料系の燃料電池でも優れた耐久性を引出すことが可能になるとのことです。

http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2015/2015_11_24.pdf


ナノ炭素材料の産業応用に向け新たな実用化開発3テーマに着手
〜革新的省エネ部材や量産技術の実用化加速〜

<概要>
 NEDOは、ナノ炭素材料の産業応用に向け、新たな実用化開発3テーマに着手します。
革新的省エネ部材として、構造材料用樹脂や水処理フィルターの新素材を開発します。さらに剥離グラフェンの量産技術開発により、高品質で安価なグラフェンの市場供給を目指します。
@ナノ炭素材料高強度複合材料の開発
 ナノ炭素材料を水に分散させるためには、分散を助ける添加剤がこれまでは必要でした。本法では分散剤を使用せず水にCNTを分散させ、それを樹脂に練りこんで、軽量・高強度な樹脂を開発します。
【助成予定先】 東洋樹脂株式会社
Aナノ炭素材料フレキシブル薄膜の開発
 CNTの中空孔を利用した、水ろ過膜を開発します。CNTの中空孔を利用したフィルターの実用化は世界初の試みです。この技術が開発できると、水ろ過膜だけでなく、様々な用途に展開が期待されます。
【助成予定先】 株式会社ユーテック
Bナノ炭素材料大量生産技術の開発
 グラフェンは将来大きな市場が予想されていますが、量産技術がまだ確立されていません。本法では、酸を使用せず、剥離グラフェンを大量生産する技術を開発します。高品質な剥離グラフェンを安価に市場に供給することを目指します。
【助成予定先】 マイクロ波化学株式会社
<今後の展開>
 いずれも事業終了後、数年以内の実用化を目指します。

http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100507.html


◆イベント・セミナー等の紹介
東京大学がTIA-nanoに参
つくばイノベーションアリーナナノテクノロジー拠点(TIA-nano)活動のさらなる推進
のため、新たに東大が中核機関として参加することになりました。
 現在、東大を加えた中核5機関により、ナノバイオ計測や計算物質科学などの連携研究テーマを検討しており、今後、随時企業への参加を呼びかけていきます。
2016年4月より、共同の運営組織体を形成し、5機関で資金を出し合って先導的共同研究を行っていきます。また、東大と筑波大の教育プログラムを基に、イノベーション人材育成を開始し、その後は、5機関の多様な技術を融合させて、ナノバイオやIoTなどの大型研究プロジェクトの立案、企業連携、国際的な研究連携を企画・推進し、世界的なイノベーション拠点へと成長させていくとのことです。

https://www.tia-nano.jp/pdf/TIAnano_news_20151218.pdf



■■nano tech 2016  第15回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議

世界最大級の研究開発マーケットの展示会、nano tech 2016 第15 回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議が開催されます。27 ヵ国・地域より1,300 企業・団体が出展し、環境・エネルギー・素材、医療・健康、情報、通信からエレクトロニクスまでの最新技術を発信します。

NBCIは「nano tech 2016」を後援し、同時に開催される「3D Printing 2016」を共催しています。

開催要領
nano tach 2016(NBCI後援)、3D Printing 2016(NBCI共催)
日時:2016年1月27日(水)〜29日(金)開催
会場:東京ビッグサイト
◆NBCIブース展示◆
  ◇東5ホール 5R-18ブース(NBCI)
  ◇東6ホール 6P-13ブース(NBCIバイオミメティクス分科会)
  ◇東6ホール 6F-23ブース(NBCI3Dプリンタ分科会)
◆NBCI講演◆ 
  ◇1月28日(木) 東5ホールメインシアター
     13:00-14:45 【産業活性・NBCIの産学官ネットワーク】
  ◇1月28日(木) シーズ&ニーズセミナーD会場
     11:00-11:40 【NBCI3Dプリンタ分科会の取り組み】
  ◇1月29日(金) 東5ホールメインシアター
     11:30-13:45 【「ものづくり」をかえる、バイオミメティクス】
展示会への参加:事前登録していただけましたら、無料となります。
http://www.nanotechexpo.jp/main/


■■
ナノテクノロジー国際標準化ワークショップ

〜ナノテクノロジーの国際標準化における日本の戦略〜
欧州の規制を意識した規格提案やグラフェンやセルロースナノファイバーなど新しい材料に対する規格提案など取り扱う作業項目が増え、ますます活発になっています。
今回のワークショップでは、ナノテクノロジー国際標準化の最新の動向を織り交ぜながら、日本の標準化戦略や取り組みが紹介されます。

開催概要
日時:2016年1月29日 金曜日 13時10分 〜 16時10分
会場:東京ビッグサイト 会議棟1階 102会議室
  ※本ワークショップは、nano tech 2016に併催
主催:産業技術総合研究所 ナノテクノロジー標準化国内審議委員会
参加:無料、定員100名(※参加費無料、先着順、定員になり次第締切り)
   申込締切りは、2016年1月26日( 火)
問い合わせ:ナノテクノロジー国際標準化ワークショップ事務局
     (産業技術総合研究所 知的財産・標準化推進部国際標準化室)
https://unit.aist.go.jp/ipsta/ja/event/nanowork2016/nanows2016.html


■■ナノ材料の計測に係る講演会

一般社団法人ナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI)の活動体である「ナノ材料の実用的計測評価WG」は、ナノ材料の簡易的な粒子径分布計測の標準化を目指しています。今般、「ナノ材料の粒子径分布計測の概要」の講演会を開催するとともに、本WGの活動状況を報告いたします。

開催概要
日時:2016年2月8日 月曜日14時〜15時30分
会場:東京YWCA会館内217会議室
    千代田区神田駿河台1丁目8番地11 東京YWCA会館
講演会:
 1)講演タイトル:「粒子径分布測定の概要」
   講演者:株式会社島津製作所 分析計測事業部 島岡治夫 様
 2)本WG報告:平成27年度活動報告及び平成28年度実施計画

参加費:無料
申込:氏名、所属、及びメールアドレスを記載して、NBCI事務局の加藤(kato@nbci.jp)までメールでお申し込み下さい。満席になり次第締め切ります。
(本講演会は経済産業省の平成27年度国際標準化活動の一環として開催するものです。)


■■EB(電子ビーム露光技術)描画実践セミナー

文部科学省委託事業「ナノテクノロジープラットフォーム」の一環として、『EB描画実践セミナー』を産業技術総合研究所にて開催いたします。
電子ビーム露光技術の基礎から描画のためのデータ処理技術について、初心者にも分かり易く解説します。また、最新の露光装置を使った事例を紹介しますので、より具体的なイメージを持つことができると思います。
このセミナーに併設して“データ処理ソフトの使い方”についての無料実習コースを準備いたしました。露光実験を検討されている皆様に、是非一度使っていただきたく思います。
また、実際の露光装置を使った実習プログラムも用意しています。産学官いずれのご所属の方にも、広くご参加をお待ちしております。

開催概要
日時:2016年2月19日(金)9:55-12:30
場所:産業技術総合研究所つくば中央2-12棟第6会議室
http://www.aist.go.jp/aist_j/guidemap/tsukuba/center/tsukuba_map_c.html
参加費:無料
定員:60名(先着順)
セミナー申し込み案内:https://nanoworld.jp/npf/training/h27-5/index.html
【プログラム】
  9:55 開会
  9:55-10:00 『はじめに』 産総研 多田哲也
  10:00-11:00 『電子ビーム露光の基礎』 東京工業大学 宮本恭幸
  11:00-11:30 『電子ビーム露光における近接効果』 産総研 有本 宏
  11:30-12:00 『電子ビーム描画のための様々なデータ処理技術』 GenISys 竹村 等
  12:00-12:30 『実施機関からの最新露光装置を使った事例』 東京大学 島本直伸
お問合せ先:国立研究開発法人 産業技術総合研究所
つくばイノベーションアリーナ推進センター共用施設運営ユニット・共用施設ステーションナノプロセシング施設
電子メール:tia-npf-school4@aist.go.jp



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◆【連載!神田のカルチェラタン】

〜COP21を機に〜


 昨年12月12日に、COP21(正式名称:「気候変動枠組み条約第21回締約国会議」)で200ヶ国近い参加国が合意した「パリ協定」が発表された時の映像は、まるでSTAR WARS,
人類が滅亡の危機から脱出に成功したような騒ぎ振りでした。
 しかし、よく考えてみれば気候変動は人間が撒いた種で、取り返しがつかないほど大問題となってから騒いでいるのですよね。

 (編集長 馬田芳直)


nano2biz Magazine68号 カルチェラタン
〜COP21を機に〜

 

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101-0062 東京都千代田区神田駿河台一丁目8番地11 東京YWCA会館3
TEL:03-3518-9811(
代表) FAX:03-5280-5710

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